懲りない天使


 従兄弟の兄さまは優しくて、強くて、そしてとても格好良い。私はそんな兄さまが大好きだ。でも、兄さまはもう一人の従兄弟――ジョシュアの兄さまだ。私とジョシュアは一つ違い。私が先に生まれて、ジョシュアは翌年に生まれた。だから、私の方がお姉さん――だというのに、ジョシュアは私を姉さんって呼んではくれない。
「アメリア!」
 ほら、また名前で呼ぶ。子犬のトルガルを抱えたまま嬉しそうに走り寄ってくるジョシュアがちょっと憎らしい。
「ジョシュア、あまり走ると体に障ってしまうよ」
「今日はいつもより調子が良いから大丈夫だよ。それより、こっちに来てよ!」
 トルガルを抱えたまま、ジョシュアの片手が私の手首を掴み引く。私よりも華奢で体も弱いけれど、こういう時のジョシュアはとても強く感じる。椅子に座っても、地に足が着かないくらいに幼いというのに。
「……私の方がお姉さんなのに」
「え、何か言った?」
「私の方がお姉さんなのに、ジョシュアはちっとも私を姉さんって呼んでくれないってこと!」
「なんだ、そんなこと。僕は絶対、アメリアのことを姉さんって呼ばないって決めてるからだよ」
 得意げに振り向くジョシュアは普段の愛らしい笑顔のまま。
「僕だって、これだけはクライヴ兄さんに負けていられないからね!」
 ジョシュアは私より一つ歳が下で、体も弱くて、可愛らしい男の子だ。けど。
「……納得いかない」
 胸がきゅうっと苦しくなって、悔しい気持ちになる。そしてそんなジョシュアが嫌いじゃないって思った。