愛を騙る手足1
手を伸ばせば触れられる距離だというのに、俺の手は動かない。触れたいと思う度に兄貴の顔が浮かぶからだ。ナマエも俺じゃなく、兄貴を待っているんじゃないかって思ってしまう。落ち着かせたはずだったんだけどな。初恋とは厄介だ。離れて忘れても会えば途端に思い出す。とても厄介だ。
星空を眺めるナマエはとても綺麗になった。幼い頃のお転婆なナマエとは思えないくらいに。俺もあの頃に比べたら図体も大きくなったし、随分と丈夫になった。けど、一歩踏み込めないのは昔も今も同じだ。欄干に掛けられてるナマエの手に触れることすら出来ない。兄貴なら容易く触れられるんだろうか。
(20150815)