木々を縫うように駆け抜ける。小さな悲鳴が聞こえた。振り向けば、私の後ろに着いてきていたはずのエリーゼの姿が見えない。
「エリーゼ! どこ!?」
「だ、大丈夫! ここにいるよ!」
木の幹から顔を出したエリーゼに安堵しつつ、その笑顔に張り付く汗と上がる息遣いに申し訳なく思う。
「エリーゼ、もう少しだからね」
「うん」
「……ありがとう」
エリーゼはどんなに辛くても根を上げない。余裕が無い時は特にそうだ。本隊とはぐれてしまった私達は一刻も早く合流しなければならない。馬もなく、疲労と不安が増す今、私に出来ることは、エリーゼの手を取りひたすら前へ進むことだけだ。
(20150716)