「田舎者だからってなめんじゃないわよ!」
「まあまあ、落ち着けよ」
「エディもあたしが田舎者だって言いたいわけ!?」
「何でそうなるんだよ。なあ、レオナルド、お前も手伝って」
君の後ろ席に座っている小父さんの真っ赤な顔を見ながら、僕は溜めに溜め込んでいた息を大きく吐いた。 そんなにカッカして、君は本当に元気が有り余っているようだ。君とエディとそして僕。三人揃えば何だって怖くない――筈が無いのは君も分かっているだろう。どうして君はいつもいつも些細な言葉を買って喧嘩腰になるんだか。 勿論、止めない僕も悪いけど、エディはもっと悪い。耳に飛んでくる言葉を流していれば良いものの、一つ一つ受け取って拍車を掛けるかの如く再度口にしちゃうんだから。
「はい、そこで止め。……小父さん、すみません。私達の連れが失礼な振る舞いをしました」
「ちょっと、レオ! 何であんたが謝んのよ! 悪いのはこの小父さんでしょ!」
「エディ」
「りょーかい」
「あっ、ちょっと、何すんのよエディ! やっ、痛い痛いってばー!」
こんなんじゃ目立って仕方が無い。街中で情報得るも久々のご飯も何もかも台無しだ。深く礼してから僕は先に出て行ったエディ達を追った。
「レオの馬鹿ー!」
「君が悪いんだよ」
「何よ! もとはと言えば、あの小父さんがレオを変な目で見ていたからじゃないのよ!」
「……そうだったの?」
「エディも、今さっきまで何聞いていたのよ! っ……ふんっ!」
僕の容姿が田舎者にしては上玉だとか、そんな話を聞いて怒っていたなんて、僕としては少し複雑だ。
「あのね……僕の事はどうでもいいんだ」
「いくないっ!」
「ちゃんと話聞いて」
「うっ……何よ。……?」
聞き流せば良い話に首を突っ込んで、涙するのは君の方だという事を、僕はちゃんと君に知ってもらいたい。 君が泣いたら僕達が悲しむという事も、その内でいいから知ってもらいたい。ほら、エディを見てごらんよ。口には出さないけど、エディの眉が頼り無く下がっている。
「僕達が我慢しているから、それを代弁してくれるのは……危なっかしいけど、嬉しいよ。でもね」
僕達は一人でも欠ければ力を失ってしまうんだ。三人揃っているからこそ、今の僕達が在るんだ。
「僕は……ううん。僕とエディは、君に怒っていて欲しくもないし、泣いて欲しくもない。笑っていて欲しいんだ。……分かるよね」
「……ごめ、んなさい」
「よし! んじゃ、ミカヤ達んとこに戻ろうぜ!」
「エディ、もう少し空気読んでくれないか」
「ふふっ。エディが空気読める子だったら、あたし達は苦労しないでしょ」
「それもそうか」
「何だよそれー! 一番苦労掛けさせてんの、お前だろー」
「なーんですってー!」
これから先もずっと三人で居たい。君とエディと、そして僕の三人で。ずっと。
(20090130)