布越しに伝わる体温と肌の柔らかさに、アルフォンスは目を閉じた。想いが通じ合ったあの日からどれだけの日数が経ったのか、数えようと思えば数えられるが数えることを忘れるくらいに遠くに感じていた。
「あの、アルフォンス……」
「何かな」
遠征の度に溜まる調査報告書の目通しの最中にアスカは温かい飲み物と共にアルフォンスの下へやってきた。目頭が重く感じていたアルフォンスはアスカを自室に招き入れ、息抜きも必要と言わんばかりにアスカを腕に抱く。円卓に置かれた飲み物から白い湯気がゆらりと伸びるのを見ながら、アスカはアルフォンスの抱擁を受け止めるものの、いつにも増して積極的なアルフォンスに声を掛けずにはいられなかった。
「今忙しいんじゃ、なかったのですか……?」
「嫌?」
「……嫌じゃないですけど……アルフォンスのそれはいつもずるいですよ?」
アスカはすぐに顔が赤くなる。少し拗ねた口調で――だが、愛情を乗せた視線がアルフォンスの理性を揺さぶっていた。アスカの頬に触れればそっと手を添えて「正直に言うと……嬉しいんですけどね」とはにかむのだから。
「僕はアスカも十分、ずるいと思うよ」
少し歯を立てて噛み付くようにキスをする。触れ合う舌先の甘さに酔い痴れながらも、アルフォンスはアスカの頭を愛しさのあまり撫で上げた。小さく「アルフォンス」と名を呼ばれれば堪らなく唇に触れたくなるのは仕方のないことで、気付けば寝台に押し倒していた。
「触れても良いかい?」
「ダメって、言っても良いのですか?」
「……やっぱり、ずるいね、アスカは」
頬を指で優しく撫でながら、アスカの腹部に触れる。びくっと揺れたアスカの身体が強張った。だが、アスカの表情はアルフォンスの視線を逸らしつつも、熱の籠った目元はそのままで。「アスカ」と顔近くでアルフォンスが囁けば、アスカは恥じらいを見せつつも視線を合わせた。ぐっと熱くなる胸内に、アルフォンスはアスカへと今度は優しいキスを落とす。
「もう一度聞くよ……もっと触れても良いよね?」
「私もアルフォンスに触れて良いのなら……良いですよ」
そっと息を吐くように笑えば、アスカの指先が優しくアルフォンスの頬を撫でる。それが合図だった。アスカの想いに触れたアルフォンスの手はするするとアスカの服の隙間を縫い入る。どくんと大きく鳴り続ける心臓の音が、込み上がる熱が、アルフォンスの胸の奥深くを焼き付けた。
「やめてと言っても、もう遅いからね」
Title by Postman(20190311)